第2章 幻想叶は考えてしまう
学校ではぼさぼさ髪もそのままでくたびれた感じが強いのに、寮にいるときは髪をまとめている。
そっちの方が絶対良いのに。
「先程ヒーロー事務所から連絡があってな、体育祭のお前を見て是非スカウトしたいそうだ」
体育祭…
「なんで私がって顔だな」
「はい…体育祭で私は七位、目立つような戦いもしていません」
以前あった雄英体育祭で、私は自身の個性が上手く使えずパワー負けして七位までしか行けなかった。
「それはお前の個性をちゃんと知らない奴らからしたらだ」
そう言うと相澤先生は少し面倒くさそうにため息をついて
「そもそもお前の個性は一対一の戦闘には不向きだ。体育祭ではそのハンデの中相手の記憶を時間差なく改ざんし続け、現実と記憶の差を曖昧にさせ肉体攻撃をする。あの時点のお前ではよくできていた」
そう言われ、相澤先生が黙ったので変な間が空いた。
よくできていた…褒めてくれてるのかな。分かりずらいけど。
「話を戻すがどうする幻想、ここの事務所のヒーローは格闘戦主体だ。」
格闘戦主体…
「私の個性は心理戦、奇襲攻撃が主体となるから…」
私の得意分野とは離れるかもしれない。
だけど
「……やります、体育祭で私に足りなかったのは格闘能力。格闘戦主体の事務所が私を指名してくれるというのは、それだけ私の個性をよく理解してくれたということ。その点も鑑みてお受けした方が私に利点が多いと思います。」
「幻想は話が早くて助かるな、俺も受けた方がいいと思うぞ」
私は人の目を見て話さない。
だから相澤先生がどんな顔をしているのか分からないけど
なんか、少し不機嫌……?