第13章 相澤消太は嫉妬する
【相澤消太side】
朝ホームルームに行くといつもより騒がしかった。
「幻想!次俺と話そうぜ!」
「う、うん、話そっか」
「ちょっとやめたげなよ!困ってるじゃん!」
「それに今私たちと喋ってるじゃん邪魔しないでよ!」
「ねえ叶ちゃん!今日も一緒にお昼食べようね!」
「あっ!ずりい!俺らも一緒に行っていいか幻想!?」
「………………。(なんだこれ)」
クラスを覗くと幻想がクラスのやつらに囲まれていた。
「おい、何やってんだ、ホームルーム始めるぞ」
そう言うと一旦先程の騒がしさは収まった。
「………ということで、今日は全部座学だが、気を抜くなよ。以上」
淡々と今日の予定を話し終わりホームルームは終わった。
俺が話し終わると同時にクラスのやつらが幻想の元に集まる。
「にしても叶ちゃんが私たちの顔見てくれるようになったのすっごく嬉しい!」
「ね~もうすごい可愛いよ~叶ちゃん」
「あ、ありがとう」
「………。」
幻想が人の目を見て話すようになっている?
俺が諭しても頑なに拒否していたのに。
「相澤先生」
名前を呼ばれハッとすると、轟が話しかけていた。
「これ、提出するように言われていた資料。よろしくお願いします」
そう言って資料を手渡された。
「分かった、……おい轟、あれはなんだ」
そう言うと轟はきょとんとして、俺の視線の先を見ると「ああ」といった。
「なんか幻想が昨日から急に俺たちと目を見て話すようになったんですよ」
そう話す轟は少しだけ嬉しそうだった。
「あいつ凄く一生懸命目見て話すから、クラスのやつらにおもちゃにされてて…」
そういうことか。
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土曜日、帰宅報告しに来た幻想はなんだかすっきりした顔をしていた。
その顔を見て俺は何も言うことはなかったが、
俺の中にある靄は深く、大きくなっていた。
「緑谷、あいつなんかしたのか」
そう直感的に理解した。
俺が幻想に外出の条件として出した付添人として、
緑谷を付添人にすると報告が来た。
それを聞いて、教師としてあまりそぐわない感情を抱いた。