第10章 幻想叶は思い出してしまう
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「ごめんね叶ちゃん、私土曜日は用事あって行かれへんのよ」
申し訳なさそうにお茶子ちゃんはごめんねのポーズをとる
「ううん、急だしごめんねお茶子ちゃん」
相澤先生に外出の条件を出されてしまった私はとても苦戦していた。
授業がない土曜日はみんなそれぞれ予定がある。
芦戸さんも、梅雨ちゃんも、お茶子ちゃんもダメかあ。
他の人も手あたり次第声かけるしか…
するとお茶子ちゃんは何かを見つけ手を振った。
「あ!デク君!ちょっとこっち!……ねえ叶ちゃんデク君はどうなん?確か土曜日はオフだって言ってたよ!」
そう言うとお茶子ちゃんは通りがかった緑谷君を大声でこちらへ呼んだ。
「え!…ちょっといきなりそんな…」
緑谷君とは授業の時に話をするか、お茶子ちゃんを交えて会話をするくらいだった。
「どうしたの?麗日さん」
緑谷君は不思議そうにこちらを見ている。
「叶ちゃん土曜日病院行くらしいんだけど、相澤先生にクラスの人で付き添いする人を一人連れていくように言われたらしくてね、デク君できたら行ってあげられない?」
「大丈夫だけど、病院ってどうしたの?幻想さんどこか悪いの?」
そう言って私の顔を覗く
「い、いや、ちょっと検査みたいな?感じで別に何ともないんだけど、先生が念のため付き添いを連れてくようにって言われちゃって……」
そう言って私は緑谷君から目をそらした
「そうなんだ!そういうことなら土曜日は空いてるから大丈夫だよ!」
「ほんとデク君!よかったね叶ちゃん!これで見つかったね!」
お茶子ちゃんが嬉しそうにしている。
「う、うん。ごめんね緑谷君せっかくのオフなのに、交通費と何かお礼するね」
そう言うと「そんなの大丈夫だよ!」と緑谷君は笑った。
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