第1章 相澤消太の違和感
「おいおいイレイザーヘッド、一人分の報告資料に何時間かかるつもりだ?」
そう言われ肩をたたかれ、横を見ると同僚のプレゼントマイクがにやにやとこちらを見ていた。
「幻想 叶? ああ、あの記憶を変えちゃう個性の子ね。すげえ個性だよなあ、でも心理系の個性は怖くて目え合わせられないよなあ」
「ちっ、こっち見るなよ仕事しろ」
そう言って幻想の報告資料をそそくさと終わらせた。
確かに目を合わせることが条件で発動される個性は、俺を除いて他者からすれば脅威かもしれない。
現に彼女は人の目を見て話をしない。
それは他者への配慮なのか、過去のトラウマなのか俺には分からないが。
「よし、今日の分は終わった。」
「まじかよイレイザー…あと30分待ってくれよ…」
「断る。お前もさっさと帰れよ」
時刻は20時30分。
今日は割と早く終えることができた。寮に帰って少し寝るか…
帰路を辿っていると右ポケットの携帯が鳴る
プルルルル……