第9章 相澤消太は教師である
「でも、あいつはここまで来ただろ」
そう言ってマイクは俺の肩に腕を回した。
「あいつは敵(ヴィラン)とだって戦ってきた。多くの生徒がいる中で体育祭の七位、そこからスカウトも勝ち取った。
あいつが日々の授業でも目覚ましく成長をしているのはお前が一番よくわかってるだろ」
「……。」
「教師にクラスで自分だけ心配されて、信用されないってのは、幻想にとってそれほど不甲斐ない事はないぜ」
マイクは俺の顔を見ていつものあっけらかんとした笑顔を見せた。
こいつ、いつも何も考えてなさそうなのに他人のことはよく見ている。
「……そうだな、今回はお前が正しいよ」
その通りだと思った。
幻想は幻想なりにヒーローを目指している。
教師である俺が私情であいつを評価してはダメだ。
俺は幻想に感じる懸念も
妙な違和感も
教師として自身の中に落とし込むことを決めた。