第7章 相澤消太は改ざんされているⅢ
その言葉の真意が分からずに、じっと彼を見つめてしまった。
彼はすごく怖い顔をしていた。
「なんでって…、ヒーローになりたくて」
「ヒーローは生半可な覚悟ではなれない。やめておけ」
怖い、真剣な顔。
なんで、そんなこと言うんだろう。
私もあなたみたいになりたくてここまで努力したのに。
「なんで、そんなこと言うんですか」
声が震えてちゃんと話すことができない。
憧れて、焦がれている人にそんなこと言われたくない。
顔が熱くなるのを感じた。
私がこの人と対等になるには…
あの時みたいな無様な私を払拭しなければいけないのね。
強いヒーローにならなければ、彼は今の私を見てくれない。
あなたみたいになれない。
彼は私の個性が“ヒーローになるに値しない”と確信してるからそんなこと言うのね。
悔しい。
悔しい。
私だって!!!
「おい、聞いているのか」
そう言って彼は私の肩に手をのせた。
「ごめんなさい、しばらく忘れてください」
ちゃんと見つめた彼の目は、どこまでも黒くて
とても綺麗だった。