第4章 幻想叶は隠している
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「あーあ、上鳴くんのせいで行っちゃた…」
「俺のせいかよ!何話してたんだよ」
「叶ちゃんの恋バナー」
「え!!幻想の?!なんか意外だな」
「確かに、叶ちゃんっていい子だけどそういう話はあんまりしないよね」
「あいつあんまり人の顔見て話さないからいまいち何考えてるのか分からないとこあるよなあ」
そういうと芦戸に割と強めに殴られた
「なーに上鳴悪口?さいてー」「ちっちげえって!!もったいないよなって話!」
「話しかけても少しだけ距離おかれてる気がしてさー、幻想は顔整ってるんだからもう少し歩み寄ってくれればモテるのになーって思ってさ」
ゴンっ
先程よりも強く殴られた
「いってえ―!!」「叶ちゃんは女子とは仲良くしてくれてるし、すっごく優しいんだから!!ばーか!」
「もういこ!!」
そう言うと芦戸と麗日は部屋に戻ってしまった。
「ええー……俺悪者か…」
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授業が始まって、少し落ち着くと昨日のことを考えてしまった。
『俺が個性を使えばお前の個性は効かない』
昨日相澤先生の元に行くと、話の最後に目を見て話したらどうかと諭された。
私が人の目を見て話さないことが気にかかったのかもしれない。
だから、あんなこと無理やりしたのかも…
「………。」
だけど、私は人の目を見て話したくはない。
それは友達や先生方に怖がられたくはないから。
私が嫌われたくないから。
誰かに疑われたくはないから。
それに…
先生にはまだ気づかれてはいけない。
私は先生の過去の記憶を改ざんしている。
しかも二度。
私はずっと前から相澤先生に恋をしている。