第6章 夜蛾先生
「馬鹿者!!」
「いったー!」
私は何を見せられているのだろう…。
熊みたいに怖いお兄さんが悟くんの頭を拳骨で殴った。
そして、熊のお兄さんの周りにはなんだかファンシーなぬいぐるみが沢山…。
これ、お兄さんの趣味…なのかな…。
「勝手に、特級呪物の回収をしてきたのはまだ許す。が、こんないたいけな女の子を、どこから、どうして連れて帰ってきたんだ!」
「いや、仕方ないじゃん。呪詛師に狙われてるんだよ、この子。あと、訳あり。」
あ、そっか。私が悟くんにのこのこと着いてきたから、悟くんはこのお兄さんに怒られてしまってるんだ…。
私がいなかったら、悟くんは怒られずにすんだのかもしれない。
そう思ったら心臓の辺りがスっと冷たくなって、唐突に冷静になれた。
『あの。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。帰ります。』
「は?何言ってんの?帰るってどこに帰るつもりだよ。」
『町まで出れば何とかなると思うし...。』
「なんで突然?ここにいればいいじゃん」
『そしたら悟くんに迷惑が...』
「俺、迷惑だなんて言った?」
『いえ...そういうわけではないけれど...』
「じゃぁなんで?それに、また呪霊が出てきたら、どーすんだよ。」
『それは...』
「俺、助けるって言ったじゃん。」
『助けてもらったよ?』
「俺、まだ珠のこと、助けたと思ってないよ。」
「...君。」
『あ、はい。』
私と悟くんが言い合いをしていると、悟くんと話していた熊のお兄さんが話しかけてきた。
あ...怖い...目の前が暗くなっていく気がする...
「珠!おちつけ!」
「すまない。驚かせてしまったかな。
私の名前は夜蛾正道だ。悟たちの先生をしているんだ。」
『あ...翠 珠です。』
「翠。君はここに居たいかい?」
『私はここ以外、行くところがありません。私にここで出来る事はありますか?』
「ここは呪術を学び、呪霊を祓う、その為の力を学ぶ場所だ。強くなれ。」
『わかりました。それが...ここに居るために、必要なのなら...なります、呪術師に。』
「上には私から上手くいっておこう。」
「さっすが、先生。頼りになる~」
『あ、ありがとうございます。』
私ここで、呪術を学ぶんだ。
そして..悟くんのように、人を助けられる人になりたい。