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桜月夜の、鎖

第2章 葛藤


「前はそんな暴力女じゃなかったじゃん、おまえ」


ため息ひとつ。
蓮は簡単に、両手首をまた壁へと押し付けた。


「あんたが……っ、こんなことするからでしょっ!!」
「嫌がるから」
「は?」
「あんまり必死だからいじめたくなんだよ」
「………っ!!な、に言って!!」
「ほら、すぐそーやって赤くなるし」
「近いの!!大声だすわよ!」
「出せば?」


顔色ひとつ変えずに、蓮は首筋へと舌を這わせていく。


「出せよ。大声」
「…………っ」



また、その表情(かお)。
人を射抜くその瞳。
鋭い視線。



なんで、こんなに心臓うるさいんだろう。
こんな近いと、響いちゃう。
ドキドキしてるの、バレちゃうのに。
離れなきゃ、そう思うのに。
目が、離せない。
視線が、奪われる。




「………桜、月?」

「あ……」


吸い込まれそうに、なった。
熱くて。
目眩が、した。
だけど駄目。
無理。
一瞬力が緩んだ隙をついて蓮の腕から抜け出し、背を向けた。



どーしよう。
今、何考えた?
あたし……。



「………っ」



不意に後ろから抱き締められる形で触れたぬくもりに、ビクン、て。
身体が跳ねた。



「だから、逃がさねーって」



胸を服の上から、蓮の掌が包み込み。
耳の中を音を響かせながら舌が這う。



「思い出せよ」


「………っん」


耳。
息……っ。
そこで、しゃべんないで。


「だ、からいい加減に………っ」



ぎゅうって目を閉じて。
思い切り振り返れば。
同時に腕を動かした蓮の腕に当たって、眼鏡が床へと転がって。
割れた。
視線を床へと取られた隙に。
蓮の両手が両頬を捕らえ、少しだけ向かされた視線の先。
良く知る蓮の漆黒の瞳がそこにあった。


「眼鏡ないと確かに似てる」
「は、なしてよ!!」


反らそうとすれば。
ぐ、と掌に力が入り1ミリも動かせない。
視線すら、反らせない。


「こんなにそっくりなのにな」
「蓮!!」
「双子なんて聞いてねーし、だいたい苗字違うじゃん。詐欺」
「3、年前ママが再婚したの!」
「………なんでおまえなの」
「え」
「忘れたと、思ってたのに」

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