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桜月夜の、鎖

第5章 嫉妬




「あたし8年前、蓮のマンションでお姉さんのこと見た」
「…………?」
「蓮と、お姉さんがすごく親密そうに部屋から出てきて。それで…………。あたし…………。」


あたし。

「…………」


駄目だ。
言葉。
出てこない。
なんか言ったら声、震えちゃいそうで。



「…………で、別れ話か」


「…………ごめんなさい」




はぁ。
て。
苛つきとも取れる蓮のため息に、肩がすくむ。



「なんで俺に直接聞かなかった?話がしたいって俺、ずっと言ってなかった?」
「…………蓮の口から、肯定されるの怖くてそれで…………」


蓮の口から。
他の人の存在を肯定されるのが。
他に好きなやつ出来た…………、って、聞かされるの。
怖くて。
逃げた。
全部なかったことにして。
逃げたの。



「ごめんなさい…………。蓮。あたし…………」



自分勝手に逃げ出して。
8年も。
8年間も。
逃げ続けた結果美桜まで。
傷付けて。

…………橘さんの気持ちも、弄んだ。



「…………ごめん」
「正直8年前に話してくれれば、って、思うけど」
「…………うん」
「関係ねぇよ」
「ぇ」
「いんじゃねぇの、もう」
「…………」
「だって結局今桜月はここにいんだし」


ぐい。
て。
頭が引き寄せられて。
蓮の腕の中。


「…………嫌われたわけじゃ、なかったってことだよな?」
「…………蓮を嫌いになったことなんて、なかったよ」


はぁ。
て。
深く、息を吐き出して。
蓮があたしを強く抱きしめた。



「…………つーかあんなやつと誤解するか?普通」
「めちゃくちゃ仲良さそうに見えたんだもん」
「まじタイミング最悪すぎんだろあのバカ女」
「お姉さんとは、なんで一緒に住まないの?」
「ああ、ウチ離婚してて。あいつは母親に、俺は父親にそれぞれ引き取られて。まぁ親父が再婚して、居場所なくなったから家出てここで暮らしてたんだけど」
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