第2章 行き当たりばったりの旅
「毒味もなにもないよ。合法だよ。炭酸はなかなか面白い飲み物だと思うよ?好き嫌い分かれるけど、ほらほら飲んでみて」
ストローをラキオに渡した。
「まったく…まあ君の身勝手な善意とやらに付き合ってばかりだな僕は。苦手だったら当然、全部に押し付けるからね」
「わかってるって…はふっ…」
味噌ラーメンをズルズルと啜る。これは美味だ…ラキオが食べそうな様子であれば分けてあげよう。念の為、小分け用のおわんをつけて、割り箸も2人前にしておいたのだ。
コシのある麺を噛みながら、ラキオを見やる。まじまじと見つめたり、コップから手を仰いで匂いを嗅いだり、尖り口になってストローをくわえている。
…多分だけど、新鮮なんだろうな。
「〜っっっ!!!」
ほんのちょっぴりソーダを飲んだだけだが、目を見開いてはギュッと閉じて、口をすぼめている。
炭酸特有のシュワシュワ感を口いっぱいに感じているようだ。
普段のすまし顔のラキオからは全く想像がつかない表情でかわいかった。
自分が持ってる知識を、知らない人に教えるのは楽しいし、嬉しい。だから、ことある度に知識をひけらかしては、「君と違って、僕って博識だろ?」とニコニコ自慢してくるラキオの気持ちも分からなくはないのだ。彼ほど嫌味ったらしくはないけれども。
「どう…美味しいかな?すごい顔してたけど」
「……とんでもないものをすすめてくれたね…、覚えてなよ」
「あはは…あ、そうだ。よかったらラーメン食べなよ。美味しいよ!」
小さなおわんに麺を少量、れんげでスープをいれた。おわんの上にラキオの分の割り箸を乗せて渡す。