第1章 1
「……っは、はぁ、何するの」
「俺だったらこんなことされてもいいってことか?」
「は、はぁ…?そ、そういう訳じゃ」
「じゃあなんで……あんな……。やっぱりお前、そういうやつだったってことかよ。」
「違うよ!こんなことするの初めてだったし…。」
まずい、このままだとさらなる誤解を招いてしまう。
でもどうして私、嫌じゃなかったんだろう。
「っ……。そうだったのか…。」
「…………。」
依然、伏黒の腕の中。
とても気まずい。
「……き……だ。」
「え?」
「だから…、好きだ……。」
伏黒は真っ直ぐ私の目を見ていう。
またすぐ触れ合ってしまいそうな距離で、どきどきする。
「えっ…。」
「すまない、もう待てない…。」
そう言い残し、唇を貪る。
「っはぁ、俺の事、想ってないなら……すぐに俺を殴って出ていけ……。」
キスの合間に漏れる吐息に混じった声。
くちゅくちゅ、と水音が、静かな部屋に響き渡っていやらしい気分になってくる。
でも彼にならこのまま流されてもいい、そんなふうに思ってしまった。
やっぱりこの気持ちは、
「……いい…のか……。」
気がついたら、自分から首に手を回していた。
「うん……。私も…すき……。」
「……っ、そうか。よかった……。」
すると伏黒は腕を解き、私から離れた。
「続き、しなくていいの?」
「あぁ。今日はその言葉が聞けただけで充分だ。明日は早い。任務に支障をきたしたら…。」
「そ、そうだよね。」
「それに……。初めて……は大事にしたいからな。」
目を逸らしながら、照れくさそうにボソッと話す。
「ありがと……。」
今日はそのまま部屋を後にした。
でも今度、彼の部屋に行く時は、そういう事なんだと思うと鼓動が速くなる。
今夜はぐっすり眠れそうにはない。