第1章 1
夜
明日の任務のことで確認し忘れたことがあったのを思い出した私は、男子寮の伏黒の部屋へ向かった。
コンコンコン
応答がない。
部屋からは灯りがもれているので起きているはずだが。
コンコンコン
寝ているのだろうか、でもそれは困る。
こっちにも準備があるから今日中に打ち合わせしておきたいのだ。
ドアノブに手をかけみると、鍵が空いていた。
寮とはいえ不用心だ。
それに出てくる気配もない。
仕方がないのでお邪魔することにした。
「伏黒〜いるんでしょ〜?」
部屋の奥に行くと伏黒がいた。
なにやらベッドに座ってイヤホンをつけ、スマホを見ており、もう片方の手には……
「って……え……」
「はっ、おまえなんでっ」
それは完全に 最中 であった。
「ごめんごめんごめん!!」
「ちょ、まてっ……!」
慌てて立ち去ろうとすると
がしっ
と腕を掴まれた。
「…おい。」
めちゃくちゃ低い声
絶対怒ってるよね……。
「はい……」
私は怖くて振り向けなかった。
「なんでここにいんだ……」
「鍵空いてて、その、明日のことでちょっと話が……。」
「……はぁ……。そ…。」
「ほんとごめん」
「……でもこのまま帰す訳にはいかねぇ。」
「えっ?」
「責任。とりあえずこっちこい。」
そう言われてグイッと腕を引っ張られ、
ベッドに座らされる。