【モブサイコ100】その花の名前は。【島崎亮】【短編集】
第4章 花が散るにはまだ早い
島崎さん、島崎さん。私、待ってたんですよ。貴方がいなくなったあの日から、ずっと待ってたんです。ずっと会いたかったんです。言いたいことは山ほどあったけれど、最初に出た言葉は「……っどうして、何も言わずにいなくなっちゃうんですか」なんて、可愛げのかの字もないような言葉だった。
「君を私のところに留めておくのはダメだと思った。君は私と違って光の元に生まれた人間です。他の同じような誰かと幸せになってくれればそれでいい、なんて柄にもなく思ったんですよ」
……なんですか、それ。私はこんなにも、島崎さんじゃなきゃダメだっていうのに。
「っ勝手に私の幸せを決めないでください……私にとって一番の幸せは、貴方といることなんですから……!」
再度溢れた涙を拭うこともせず抱きつけば、島崎さんはそれをしっかりと受け止めてくれた。
以前と変わらない仄かな香水の匂いに包まれながら、私はワンワン泣いた。