第1章 1
そう後ろから声をかけられ、瞬時にして認識した。
明らかにただの一般人じゃない。この一言だけで背筋が凍るほどの力量の差を感じる。
呪術師の端くれの私にだって、その位はわかる。
私は完全に無防備、無警戒で気が緩みきっていたため、近づかれるまで何も察知することが出来なかった。
まずい、どうしよう動けない。怖くて振り向けない。逃げろ、逃げなければ、命はない…!
すると
とん
と肩に手が乗る。
恐る恐る、
後ろを見上げる形で顔だけ振り向く。
ツギハギ
体格もいい
触れられたこの感じ…
呪いだ…。
「な、なんですか。」
「なんですか…?って面白いね。キミ。高専の子でしょ。」
「……」
怖い、なにも出来ない。何も話せない。殺される。どうしたって殺される…!
呪術師になるって決めた時、覚悟はしていた。
でも自分より、明らかに格上の相手を目の当たりにした今、そこにあるものは恐怖のみ。
どうする…。スキをついて逃げる…。それしかない。その間に伏黒に連絡…、いや、伏黒じゃだめだ、せめて1級以上…。学内だと五条先生に…、だめだ時間が無い。どうする、どうする…!
「なーに考えてんの?」
「なにも…。」
「バレバレだって、嘘が下手〜」
その呪霊はケラケラと笑っている。
隙をついて、逃げなければ…。