第1章 1
ガタンッ
その時、近くにあったゴミ溜めから野良猫らしき物音が。
呪霊がその方向に少し目をやった隙を付いて、
私は腕を振り払い咄嗟に駆け出した。
「おっと」
戦え!せめて、時間稼ぎを…!
出来るだけの呪力を使い、追ってくる呪霊に攻撃する。
この間隔ならまだ追い付かれないはず、
と思った次の瞬間
ツギハギの腕がこちらに伸びた。
腕をのばせるの!?
その長く伸びた触手のような腕は、
私の胴をぐるぐると縛り、高く持ち上げる。
「捕まえた♡」
「…殺して……」
「なんでいきなり殺すの〜まぁ…返答次第では殺しちゃうかもだけど。」
「返答次第?」
「そう……。キミ、学校のセキュリティわかる?」
「……」
天元様のことだ…なぜ呪霊が知っている?
「知っていたとしても教えると思う?」
「だよねー。残念。」
「早く殺せばいいでしょ。」
怖い。
でも、腹を括った。