第2章 思春期は理解不能
─カリカリカリカリ
─パキッ ボリボリボリ
「…………」
─カリカリカリカリ
─ボリボリボリ ズズー ボリボリボリボリ
「だぁぁ!!うっせーだよさっきから!!!気が散るわ!!!」
持っていた筆をぶん投げようとしてなんとか理性で机に叩きつける。今、何をしてるか?
始末書。 風呂に入って返り血を流した私に突きつけられた鬼からの贈り物。プレゼント。
なぜ幼児誘拐犯の浪人をしょっ引いた私が始末書を書かないと行けないのか。普通に理不尽だろ。
全く身に覚えがなさすぎる。
そして土方さんへの不満を抱えながらも仕方なく始末書を書いている私の目の前で煎餅を食いながら呑気にお茶を啜る奴。
因みにその煎餅私のだから。
勝手に食ってんじゃねーよ
「おまえさぁ…なんで居るの??え?なに?邪魔したいわけ?」
「さんがサボらねェよォーに見張り。ボリボリ」
「その煎餅私のなんだけど」
「さんの物は俺の物。俺の物は俺の物」
「ジャイアンかよ!!」
用はただ退屈だから。
それか単純な嫌がらせ。
自分も見廻りの後仕事して帰って来てるくせになんでわざわざ私の部屋に入り浸ってるの?こいつ。
ほんと…
「私の事好きだなぁー」
「好きですよ」
………ん?
「あ…ごめん。ちょっと聞こえなかったからもう一回言って」
「アンタが好きです」
「………は?」
総悟が真剣な顔でそう言った。脳内が一瞬フリーズして、何度も総悟の言葉を繰り返す。
好き…
好き…
え?誰が誰を?ん?総悟が…私のことを?
「…………ッ」
一気に体に熱が上昇してばっと手で顔を隠した。
てっきり「とんだ勘違い女」とか、「自信過剰も度が過ぎれば才能」とか言われると思ってたんだけど。
いや…いやいやいや!!ないないない!!
でも、コイツイケメンだし、女なら照れても仕方ないと思う。
そう!照れても仕方ない!!!ま、ま、間に受けるな私、お、落ち着けェェェッッ
総悟といい、土方さんといいここは顔面偏差値高すぎるんだよ。ちくしょ…。