第1章 夢で会ったキミへ
「副長ここです」
1人の隊士が襖と色々なものでバリケードを作った一室を指差した。ここに桂一味が隠れているらしい。
「おぃ!!出てきやがれ!!」
無駄な抵抗はやめろ!ここは一五階で逃げ場はねぇだよ!などなどを叫んで銀時達を刺激している土方。
一方沖田はバズーカを構えて打っちゃうぞー? マジで打っちゃうぞ~なんて叫んでいた。
「土方さん、夕方のドラマの再放送始まっちゃいますぜ」
「やべェ 予約すんの忘れてたさっさと済まそう 発射用意!!」
『えぇ!?ちょっ、二人とも本気ですか!?』
ドラマの再放送如きでそんな大事な事決めて良いのだろうか。このままじゃ中の者が木っ端微塵になってしまう。が慌てて土方を止めるが彼は聞く耳をもたずに、バズーカを発射しようとした瞬間だった。
ドンォォォオン
突然襖を蹴り破り必死の形相でこちらに走ってくるアフロ頭になった男とメガネと女の子。
「なっ…何やってんだ止めろォォォ!!!」
「止めるならこの爆弾止めてくれェェェ!!爆弾処理班とかさ… なんか いるだろ オイ!」
銀時の腕の中には小さい球体。神楽がスイッチを押してしまった爆弾だ。
逃げていく隊士達。
パニック状態の廊下。
は逃げ惑う隊士に押し出され、土方や沖田を見失ってしまった。
──ドカァァァァァンンン!!!
耳を塞ぎたくなる様な大きな爆発音とガラス窓から立ち上る黒い煙と焦げ臭さ。
──銀ちゃーん、さようならー。
どこからか聞こえてきた呑気な女の子の声に息が止まった。全身の血が引くのを感じ、恐怖から指先が震える。
(うそ…でしょ?)
恐怖から重い足取りでガラス窓に近づき、目を凝らして彼の姿を探す。
黒煙が立ち込めるなかデパートの垂れ幕にしがみつく人影、顔を煤だらけにして手を振る銀時の姿が見えた。
「銀さん!」
「銀ちゃーん、大丈夫アルかー?踏ん張れー」
よかった…生きてる
彼の姿を確認したは緊張の糸が切れ、その場にへなへなとへたり込んだのだった。