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【仮面ライダー電王】藤色の狂気

第2章 俺、参上!


 なんでこんな事になったんだろう……。自分の視界に映る光景に目をぱちくりさせてみても状況は変わらず、紫は今日で何回目の不運に遭遇しているのかと幼馴染である野上良太郎の不運カウントを数えた。
「おい!大丈夫か!!」
 脚立を持ったおっちゃんが良太郎の状況を見兼ねて荒らげた声で心配してくれた。
「はい…ちょっと、目に砂が……」
 そういうことじゃないと思うよ、良太郎。とは言えず紫は自分ではどうしようもできないと彼が下ろされるまで待つことにした。
「そうじゃなくてさぁ……」
 紫(というか殆どの人達)の気持ちを代弁して脚立を木に引っ掛け、「普通ありえないだろう」と一般人からしてみれば当たり前のことを言っている。生憎良太郎の不運体質に慣れてきてしまっている紫からしてみればあまり驚きを感じられないが、改めて考えてみれば相当なものだと思わされる。

 突然吹かれた強風に看板が倒れ、そこを運悪く乗り上げた挙句自転車ごと放り投げられ木に引っかかったという今の状況までの過程なのだが、確かによくよく考えると普通では絶対にありえない出来事が重なっていた。そんな良太郎を見ては「運の悪い奴もいるもんだ」と言われているが、こればっかりは紫も共感せざるを得ない。

「すいませんでした」
 無事に木の上から下ろされ、ついでに目のゴミもとれた良太郎はペダルを漕ぎやすい位置に持っていくと、紫のいる所まで進み出す。
「ごめんね紫、お待たせ」
「待ってないよ〜。ていうかさっきまでの出来事が衝撃的すぎて……」
 いくら良太郎の不運にも慣れてきたとはいえ、やはり驚かされることの方が多い。どれだけ周りが気をつけようがそんなのはお構い無しに巻き込まれるのが良太郎だ。身近で起きた些細なことでさえ、良太郎の不幸に繋がると言っても過言ではないくらい。

 言ったそばから目の前でビール箱に詰めていた瓶の一つが落ちて割れた。それに気づいていないのか否か良太郎は自転車を止める気配はない。勿論タイヤはパンクし運転は不安定となる。
「わぁぁぁ!?」
「良太郎!?」
 慌てて助けに入ろうとする紫だが、ガラスの破片が危ないと傍にいた従業員に止められた。
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