第3章 拝啓 父上様
「あ、ありがとう。 開けていい?」
許可を得て飾り気のない箱を開くとやはりシンプルな青い石のペンダントがひとつ。
「すごい! キレイ! ありがとテツヤ、嬉しい!」
「良かった」
ちょうど良いところにある頭を撫でて笑みで返す。購入するのは気恥ずかしかったが、こうして喜んでくれるなら悪くない。
「指輪は父上に挨拶してからな」
「えっ!?」
さり気なく出た言葉にが過剰なほど反応する。テツヤのほうがきょとんとした顔で見返した。
「連絡取れないのか?」
「取れるけど、な、何か今日のテツヤ積極的?」
「本気になって欲しいと言ったのはだろう」
本当は必死の状態で手汗が凄いのだがテツヤとて格好をつけたいので黙っておく。たまにはこちらが慌てさせる立場でもいいはずだ。
頬を赤く染めて何度も瞬きをするを見下ろし、最後にキョウスケの言葉を思い出す。重ねて彼の言葉で表現するなら「やぶさかではない」といったところか。
いつもと違うテツヤに言葉が出ないのをいいことに、そのまま屈んで口付けた。
ごきり、と常に凝りがちな首が鳴る。
「……今度から背伸びしてくれ」
それだけ何とか言うとテツヤは首を押さえつつ部屋を出てブリッジに向かった。
残されたは口元を隠したままへなへなと座り込む。
「テ……テツヤって、時々凄く格好いい……!」
拝啓、どこかの基地で働いているお父さん、天国にいるお母さん。
私、が惚れたのは普段は頼りないようで、戦闘時以外でもとても素敵な男性です。