第2章 沙明【幸せな夢を求めて】
「俺とお前、二人っきりになっちまったなぁ…」
「そうだね…」
いやに静かな食堂、ラボ、ロビー…。
あんな奴やこんな奴と過ごしてきた時間が蘇る。だから、あまり行きたくなかった。いや、どこ行っても頭から離れないからそんな意味ねェんだろうけどさ。
ただ…コールドスリープ室には行きたくなかった。
今いるのは、俺とのコイツだけだ。
ただの人間のは、まだ何もわかってないような顔していた。
会議にはちゃんと参加してたし、実際俺の仲間…グノーシアの正体を見破って、コールドスリープまで追い詰めることもあった。俺的には冷凍はあんまり怖くはなかったから…適当にやってたんだが、と敵対したら正直クチで勝てる気しなかったから俺は勇気をだして、に協力関係を持ちかけた。
そしたら、は「沙明となら安心だね!一緒に頑張ろうね」と笑顔で快く受け入れてくれた。コイツがACなんちゃらっていう可能背も否めなかったが、心底嬉しそうに笑うを見る限り、しょーもない嘘ついてるようには見えなかった。
こんな俺を信用するなんて、警戒心無さすぎるだろ。
こんな上手くイくもんなのか…?ってなって、罪悪感すら湧いてきた。
俺は消されるのが嫌だ。
だから、好きなやつに嫌なことはさせたくなくて、を消すのはできる限り避けてきた。例え、グノーシア仲間を裏切ることになっても…
だが、今になってそれを後悔することになるとはな。
「これでお前まで消しちまったらさ。
また俺、一人っきりになっちまうんだよな…」
いつもと変わらない、大きな独り言を言った。の顔を見て言うことなんてできるわけなかった。
協力を持ちかけといて、裏切ったんだからな…罪悪感抱えるくらいなら最初からするなって話だが。
罵倒されても、平手打ち食らっても、
俺は何も言い返せねぇんだ。
「沙明…まさか、」
僅かに震える声で、は尋ねた。
俺はの顔を見ていないから……見るのが怖くて、表情はわからなかった。