第1章 ^
2023年。
――――――――――――・・・・・・
「遅刻だぁ――――――っ」
五月蝿く鳴り響いてる目覚ましを止めもせずに
私は慌てて身支度をととのえる
制服を着て、髪を結んで
顔を洗って、歯を磨いて・・・・・・
「ことりー、遅刻するわよ」
「分かってる~」
1階からママの声が聞こえた
私はそれに短く返事をして
中学校のカバンを肩にかけて、階段を駆け下りた
「行ってきます!」
「朝ご飯は?」
「いらなーい、超時間ないのっ」
私はママにそう言って
かかとを踏み潰したままの靴で走り出した
ママが後から「気をつけてね」と叫ぶ
「全く、本当にあわただしい子
顔と歌唱力は勇気に似ていいのに、性格はまるっきり私なんだから」
ママが私の後姿を愛しそうにながめながら
そう呟いているなんて、ちっとも知らなかった