第4章 見えない傷
まさか…
沖矢に浮かんだ1つの思惑。
そうであって欲しくないと思いながら、辻褄の合いすぎる結論に否定する方が難しい。
沖矢は爪が食い込むほど拳を握った。
組織の任務ならそういった危険があることは百も承知だが、沖矢が組織にいた頃にがそういった被害にあったことは無いはずだ。
今回のような事が何度も起きていないことを願うも、今だってが1人痛みに我慢していると思うと見に目えぬ相手に殺意が沸いた。
シャワーを浴びたいと言ったのも…
考えれば考えるほど真実に近づいていくように思える。
聞こえるシャワーの音すらの叫びのように思えて沖矢はその場を後にした。
リビングに戻って紅茶を用意している時に視界に入ったパソコン。
恐らく彼女の私物では無く、何らかの理由で取ってきたであろうそれ。
FBIとして現在の組織の活動が気になるのが少し、
大部分はに何があったのかを探るため
沖矢はパソコンを立ち上げ、1番時刻が真新しいフォルダを開く。
再生された動画にはベッドの上で裸の男が数人で1人の女を回している様子。
ベッドの後ろから撮られていると思われるこの動画は男の背中ばかり映って女の顔はあまり見えない。
─オラっ、早く上になれ─
─ったくさっさとしろよ!─
無理矢理起こされる女の身体。
そこで初めて露になる女の顔。
そこには、虚ろで、目に光が灯っていないの姿。
喘ぐこともしなければ、腰を動かすこともしない。
周りの男が無理矢理の身体を上下に動かす。
時々顔を歪ませるの表情。
男達は避妊をしていなかった。
最後にはグダっとベッドに横になっているの姿。
パソコンを男達が覗き込んで、直後にバタッと倒れて視界から消える。
そして強制的に閉じられたパソコン。
沖矢はもう怒りで目の前が見えなくなりそうだった。
男達の顔はハッキリと見えた。
こいつらはもちろん牢獄行きだとして、それだけじゃ気が済まなかった。
の喜怒哀楽のない、生気の抜けた表情が忘れられない。
そんな顔はもうさせない、そう誓ったはずなのに。
それなのに、
その時、廊下で物音がして沖矢は電源を落としてパソコンを元の位置に戻した。