第1章 空前絶後
“よし決まりじゃ!”なんて張り切って言う学園長とニコニコ笑顔の美人くノ一教員、シナ先生によりここで生活することになった。
正直自力で衣食住確保するのは至難の業だと目に見えているのでとてもありがたい。何人かは表情的に渋っていて私を敵視してくるが、学園長が“学園長命令じゃ!”なんて言うものだから皆承知せざるおえない感じだ。まあ受け入れて貰えるだけ良いだろう。
私は姿勢を正し謝辞を述べ頭を下げた。
「ところでシナ先生、くノ一長屋に空き部屋はあるかの?」
「それが今空きが無くて物置部屋の物を他の部屋に移したりでもすれば最低限のスペースは確保できると思いますが、時間掛かる上に汚いかと」
どうやらくノ一長屋忍たま長屋があり、くノ一が利用している棟は空きがないらしい。
「あの、私はここに住まわせて貰えるだけでもう十分です。場所など気にしません」
「でも忍たま長屋は男の子のみだけど、大丈夫?」
“それにちゃんはもう大人の女性だから”なんて不安そうな顔をしてるシナ先生に笑顔で安心させるように答えた。
(にしても、17歳ってまだ子供の内なんだけどな)
「それじゃあ忍たま長屋の空き部屋に案内しよう。今日はゆっくりそこで休みなさい」
そう言い、“お前達、出てきなさい”と天井に声をかけるとこれまた天井裏に隠れていたであろう深緑色の装束の子二人が降りてきた。
隈の酷い彼と紫色のサラサラヘアの彼の後をついていきさりげなく校舎の道や仕組みを確認する。
「ここが貴方のお部屋です。置いてある棚や鏡等はご自由に使っていただいて構いません」
「何から何までありがとうございます。これからよろしくお願い致します」
名前は先程の会話を聞いていたであろうから端折る。
「私たちは学園長から貴方の世話係的な命を受けています。だから今後何かと関わることがあるので自己紹介をしておきますね。
六年い組立花仙蔵です。横にいる隈の酷い老け顔は潮江文次郎。」
‘老け顔とはなんだ!’等と立花さんに怒鳴っている彼は潮江文次郎と言うらしい。
謝辞は述べたものの、世話係だけでなく監視も含まれているのだと直ぐに察した。
そしてご丁寧に
「俺はお前のことを信用もしていなければ間者の可能性も疑っているがな」
と言葉にしてくれた。