第9章 伝授
「……」
何も言えない。
何か言わないと。
でも、何て言おう?
ありがとう?そうですか?前聞きました?
……いや、失礼過ぎるでしょ。
私は、櫻井さんが、好き?
……うん。
私は櫻井さんが好き。
でも、櫻井さんは、すごい人。
私が、私なんかが恋をしていい人じゃあ、
ぶっちゃけないし……。
なんで、すぐ気づかなかったんだろ。
私、櫻井さんを、好きとかじゃなくて
そもそも好きになっちゃ、ダメなんだよ。
だって、貴方はアイドル。
沢山の人たちに愛される、必要とされる
大切な、ステキな人。
「……」
「!」
離れた。