第1章 単純
「ど、どうかされましたか」
「ううん。面白いなーって」
「はい?」
「カンペさんでしょ?眉間にシワよってたよ」
「あぁ」
とか言いつつ一応眉間に手をやるけど
まあ、よくこんな人が私を見ていたな。
そこが一番驚くわい!
しかしまあ、キラキラしておりますな。
この業界にいて、この人の名を知らない人は
恐らくいたら上司からグーパンチ食らうだろうな。
「俺、櫻井翔ですー」
「あ、存じ上げておりますー」
「ははっ。だよね」
「はい」
なんか・・・私がこの会話を崩している
そんな気がするわ。
にしても、なんでこの人が・・・あぁ
なるほどな。
周りを見れば、他のメンバーさんも
色んなスタッフと会話をしてる。
この人も誰かと話そうとして
カンペと睨み合ってる私を見つけたわけね。
「そんなに、それ嫌いなの?」
「え?」
「カンペ」
「あ、いや、嫌いってわけじゃあないんですが」
ウソです。
バリバリ嫌いですよ。
おかげで脚が痛くて仕方ない。
「ふはは」
「?」
「カンペさん、よく顔出るよねー」
なんなんだ、この人は・・・。