第12章 確認
「コーヒー、飲む?」
「はい」
時間はまだまだたっぷりあるから
とりあえずのんびりすることにした。
翔さんがキッチンでコーヒーを淹れて
くれている間、私はソファで息を整えていた。
翔さんのお部屋は、
翔さんのお洒落な匂いに包まれている。
目を閉じれば、翔さんが抱きしめて
くれているみたい……。
「あの……」
「ん?」
私は目を閉じたまま呟いた。
「翔さん…って、呼んでもいいですか?」
「……うん、いいよ」
優しい声が、苦いコーヒーの香りと
近づいてきて、目を開けた。
「はい、どうぞ」
「いただきます」
可愛い花柄のマグカップ。
「それ、に似合うかと思って」
私を想って選んでくれたことと、
さりげなく名前で呼んでくれたことに
胸がほんのり温かくなった。
「翔さん」
「ん?」