第4章 甘いプレゼント|黄瀬涼太
黄瀬に深い口付けをされ
腰の砕けた舞を抱え路地裏に連れて行った。
黄瀬「…その、いきなりすみませんでした…。」
『………。』
再び女は涙を浮かべたかと思いきや
ツ──…と、綺麗な一筋の涙を流した。
黄瀬「そ、そんなにショックだったっスか?!」
『…んで、なんで私なの…』
黄瀬「え?」
『私の事、振ったのに…
どうしてこんな風に平気で人にキスするの?』
黄瀬「え?…は?誰が…」
泣きながら黄瀬を睨みつけ
『最っ低っ!』
そう言うと舞は走り去って行った。
──────────
あの後、黄瀬とのキスが頭の中をめぐり
舞は眠れない夜を過ごすこととなった。
その頃、黄瀬の頭の中では舞とのキスのことや
自分と舞に何があったのか…。
思い出そうにも思い出せず悩み、眠れない夜を過ごした。
そして数日後────
由乃「ねぇ舞…何かあった?」
『…え?』
フと気が付けばあの事が頭をめぐり、今でも彼が好きなんだと自覚させられる日々に困惑しつつ、もう会うことのない黄瀬との"出来事"は忘れようと心に誓ったのだった。
『ううん、なんでもない!』
由乃「そ!ならいいんだけど…あ!ねぇ!知ってる?あの噂!!」
『なに?』
由乃「あの黄瀬くんに彼女が居たって噂よ!」
『そ、そうなんだ…』
由乃「それがね、週刊誌に撮られたみたいなの!」
『へぇ…』
由乃「…あれ?舞…好きじゃなかったっけ?」
『う、うん。もういいの。』
由乃「他に好きな人でも出来たの?」
『…そ、そうかも?』
由乃「何で自分のことなのにハテナ付いてんのよ!」
そう言われおかしくなり2人は笑いあった。
由乃「ね、見てよ…これ、うちの制服なんだよね〜」
『…!ちょっと、見せてっ!』
由乃「急にどうしたのよ、ほら、これ…」
そこに写っていたのは紛れもなく黄瀬と私だった─────。
由乃「なんかさ〜、私ね、舞に似てるなぁ〜何て思ってたんだけど違ったか〜…。残念…」