第4章 甘いプレゼント|黄瀬涼太
私は今モデルで有名な
黄瀬涼太に抱き締められている───。
事の発端は数分前────
ザワザワ…
『なんだろ?めちゃくちゃ女の子ばっかいる…』
キャー!…せくーん!/////
あまりにも聞きたくない名前だった。
そう。
私は二年前、ラブレターを書いて彼に宛てていた。
勿論、返事が来るとは思ってもいなかったし
予想通り手紙の返事もなく私の恋は砕け散ったのだった。
『まさか…ね…?』
変な巻き添えを喰らうのだけは避けたかった。
振られた挙句、万が一にでも黄瀬涼太に
関わってしまえばまた私の心が再び傷付いてしまう。
黄色い声がどんどん近付いてきたが
私の足もどんどんとスピードを上げていった。
キャーキャー!!
黄瀬「…あっ!」
あまりにも近くに聞こえるその声に振り返ると…
グイッ──
『きゃっ!』
ギュッ───…‥
耳元で聞こえる黄瀬の声───
黄瀬「ごめん、ちょっとだけ…、顔伏せてて…」
あまりの出来事に頭は真っ白で、とにかくファンから
顔が見えないように必死に顔を隠した───。
黄瀬「俺、彼女待たせてたんだ!これからデートだから邪魔しないでくれる?」
ファンの悲鳴が響く中、フと我に返った。
何故私が彼を助けなければならないのか…
振られた相手に構うほど私は出来ていない。
グイッ…と黄瀬を押し
『…やだっ!離してっ!』
黄瀬「ちょっ…」
黄瀬の中では完璧な筈だった。
ファンの誰でもいい、なんならファンじゃなくていい…
この状況から脱出し後で俺から一言ありがとうと言えば
女の子達は俺に抱き締められたことや、ましてや一瞬だか
彼女のフリが出来たことに簡単に喜んでくれていたからだ。
だか、今回は違った───
黄瀬の目に写る彼女は涙を浮かべ拒絶してきたのだ。
『離してよっ!…触らないでっ!』
そう拒絶する彼女に気付けばキスをしていた──。
『んんっ!やっ…んっ…んぅ!』
拒絶する彼女の唇を割りヌルりと深く舌を絡ませた。
『ふぁっ…///んぅ////』
ファンの子達はキスをしている光景に
フラフラとした足でその場を離れていった─────。