第5章 宝石
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『リドル寮長!』
ト「!?」
ケ「ダメだよ、ちゃん!いまリドルくんに近寄ったら!」
トレイ先輩とケイト先輩が必至に私を止めようとする。
そんなふたりに私は振り返り、安心するように微笑む。
『ふふ、大丈夫です。見ててください。』
私はそういえば、エーデュースたちとリドル寮長の攻防戦が終わり、横たわっている彼に近寄り、そこに膝をつく。
横たわって苦しそうにしている彼の髪の毛を優しく撫でれば呟くように私は唱える。
『ビューティフル・ジュエリー(美しい宝石)』
するとリドル寮長の胸元から、黒い色をした宝石が浮かび上がってくる。
私はそれを両手で大事そうに包むと、口元へもってきてその宝石に口づけをする。
宝石は黒から赤に色が変わり、それを確認すると再び彼の胸元へ戻す。
『これでもう大丈夫。トレイ先輩、リドル寮長を休ませてあげてください』
ト「あ、ああ…」
トレイ先輩はリドル寮長を抱えて、医務室へと消えていった。
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