第42章 confession
「それより五条、おいらがお前に言った大事なこと、覚えてやがるよな?」
「……はい?突然そんな事言われても、どれのこと言ってんのか分かんないよ。だってクマポンにはさ、いーっぱい大事なこと教えてもらってるし…」
レイを起こさないように、なるべく静かに喋る。
しかしクマは全く遠慮なくガサガサ音を立てながら菓子を漁っている。
「愛に溺れるなって話だよ」
「…?え?……あぁ…
思い出したよ。あれね…」
昔、あの夜のことか…
花火の日…
"異性に心を奪われることは、大きな喜びであって必要不可欠なことかもしれねぇ。…だがな、それが人生の中心事になったら絶対だめだ。
もしそうなったら、人間は必ず道を見失っちまうんだ。"
「2度も忠告しねぇからな、いいか。」
「…うん…でももう遅い気がする。
僕もうとっくに溺れて出て来れない気がする…」
「マジで死ぬぞお前。女より男の方が弱いからな。」
「うん…… レイに対しては、
最強どころか最弱だから…」
弱々しく呟いてそっとレイの肩を抱く。
温かい体温と鼓動が伝わってくる。