第42章 confession
「さてもう解散しよう。レイは部屋に連れてくね。
悟と硝子はゴミを持って行ってくれ。」
夏油はレイを抱いたまま足早に寮へと戻っていってしまった。
五条は眠い目をこすりながら既に夏油によって纏められているゴミやバケツなどを片付ける。
「はーあ。ひと夏の俺のせーしゅん…
また片想いのまま終わり〜」
独り言のようにため息混じりに呟いたその言葉に、
硝子もクマも反応した。
「片想いね…まぁでも、片思いも立派な恋愛なんだ。自分が片思いしている。そう思っている時の方が強烈だよ。」
「相思相愛、おめでたいのが恋愛じゃなく、片思いが恋愛だともいえるぜ」
「………え……なにお前ら…
まさか慰めてくれてんの?」
クマがくくっと笑って言った。
「愛する喜びは、愛される喜びよりも、はるかに優るものである。って本に書いてあったぞ。元気だせ。」
「は…どんな本読んでんだよ…
まぁでも俺はさ、“思うようにいかないのが人生”でいいんじゃないかと思うんだ。そういう現実があるからちょっとうまくいったときの小さな幸せがうれしいわけだし。」
ゴミをクルクルと振り回しながら歩みを進める。
2人と1匹の影を作っている地面をボーッと見つめながら。