第42章 confession
「いざと言う時も、どんなときも、傑の力になれなきゃ、私は生きてる意味ないんだから…」
ポタッー…
夏油の線香花火も落ちた。
「…… レイ…」
静かな声。
顔を上げると、優しい目をした夏油が真っ直ぐとこちらを見ている。
漆黒の瞳の奥に、五条たちの花火の灯りが激しく揺れている。
「…そんなことを言わないでくれよ。君は生きているだけで価値があるよ。私のそばにいてくれるだけで、これ以上ないくらいに私は助けられているんだから…」
どこか切なげに目を細め、フッと笑ってレイの頭を撫でた。
目を見開いて何も言えなくなっている彼女を他所に、互いの新しい線香花火に火をつける。
小さな火花が散り、やがて徐々に大きくなり、たちまちバチバチと音が鳴る。
どこからか風が吹いてきて、2人の髪を揺らした。
夏油のいつもの香水みたいな良い香りと、レイのヘアスプレーの香りと共に、僅かな花火の香りが鼻をくすぐった。
夏の匂い……
そう感じた。