第6章 Teddybear
そして1ヶ月後の夜、レイは夏油と寝るために一緒に布団に入っていた。
自分と夏油の間にはクマを挟んでいる。
こうしていると、なんだか2人の子供みたいだと思って笑みがこぼれた。
「プーさ…じゃなくてクマはもう普通の呪骸としては完成してるんだよな?」
「ちょっと!傑までプーさんとか呼ばないでよ」
「はは、ごめん。悟がいつもプーさんと呼ぶからつい…」
そう言って夏油が笑いをこらえているのがわかり、レイは もうと言いながら返した。
「うん、指示出せば動くよ。でもあとちょっとな感じするんだよね、あと少しで…命が吹き込まれそうな気がする…」
本当にそんな気がするのだ。
夜蛾の言っていたように、自分の先天的な能力が、呪骸呪術学の勉強を重ねるに連れて開花していっている気がしていた。
「だといいね。そしたら悟みたいな性格にならないようにしつけないとね。」
その言葉にレイは笑った。
「ホントだよね、そしたら傑も厳しく教育してね!」
「ふ…わかった。本当にそうなったら私たちの子供みたいだな」
その言葉はレイの胸をときめかせた。
あまりに幸せな感覚に包まれる。
弟みたいにしようと思っていたのだが、我が子のような存在になるだろうと思った。
そうなったら本気で幸せだ。
「私、今夜はその祈りと呪力を流しながら眠るね」
レイがそう言うと、夏油は間に挟んでいるクマと共にギュッとレイを包み込んだ。
「なら私も精一杯そうしてみるよ…」
傑は本当にどこまでも優しいな…
そんな彼に愛されている私は幸せだ。
そう思い、目頭が熱くなりながら夏油にキスをした。
そのまま互いに深く貪り合うようなキスをしたあと、クマごと強く抱き合って眠った。
2つの唇が寄せられているクマは、この時、2つの違った質の呪力が微量に流れ込み続けていた。