第6章 Teddybear
コンビニでシャーベットをカゴに入れた時、硝子が横から声を掛けてきた。
「んなカロリー低いもん選ぶな!
あんたはこれにしなよー!スーパーカップ!」
「えぇっ!これ1番カロリーヤバいやつじゃん!」
「夏油がもっと太れって言ってたでしょ?」
「いや、だとしても太り方ってもんがあるっしょ!
鶏肉とかさぁー…」
「でもさ、ちょっとフニフニして女性らしい体つきのほうが、男って喜ぶっぽいよ?」
コソコソと耳打ちしてくる硝子にレイは鳥肌が立つ。
「そ、そういうもん?
…っていうか!違う!私は強くなりたいだけでっ」
「ハイハイわかったわかった」
焦り出すレイを受け流して硝子はあれこれカゴに入れた。
道中も、なかなか不機嫌気味なレイに、硝子は明るく言った。
「ねぇ、レイ?もうあんたは充分強いよ?
まぁもっと強くなりたいって気持ちはわかるけど、あの二人と比べてたらキリがないよ。あいつらちょっと別格だもん」
「違うの…そうじゃない…」
突然弱々しくなるレイに、硝子は訝しげに視線を送る。
「私だけなんにもないじゃん…硝子は呪術医療に長けてるし、あの二人もそれぞれ特技があるし…」
「っえ、何言ってんの。レイだっていろいろ強みあるじゃん」
「そうじゃなくて…皆みたいに、自分にしかできないことが欲しいの…そうじゃないと…皆を助けられないでしょ…」