第40章 scene ■
「"過去に負けない今" って…どんなの?」
布団の上で、ぎゅっと手が握られる。
「…僕がいて、レイがいる。
こういう現実…。」
ギュッと強く握り返して、指を絡める。
今、この瞬間、2人でこうして手を取り合って
支え合っていること。
そして、こんな気持ちになること。
あのころの自分たちは微塵も想像していなかった。
だから未来とは、
どう転ぶのか分からないものだと痛感させられる。
「私は……後悔してることだってあるけど、でも…
あのときは何もかもに一生懸命だった自分を否定して、過去も今も未来も、呪いたくはないんだ…」
「ねえ、レイ」
静かなその声に、隣を向く。
彼は顔だけこちらを向いていて
どこか悲しそうに笑っているように見える。