第40章 scene ■
「この際だから、はっきり言っておくね。
あのね…忘れなくても、いいからね…」
「……え?」
「そんなことは不可能だって分かってる。
なのに無理矢理そうさせようとするのは余計に苦しみが伴うことだし、楽しかったことも全部否定することになる。」
言いたいことが分かるからこそ、
レイは何も言えなくなってしまった。
「僕だって、あの頃の自分のことも、傑のことも、忘れたいなんて思ってないんだ本当は。
あいつと別れたあとのレイの涙も、叫びも…
レイを引き止めた"俺"自身のことも…」
過去を振り返って、それがどんなに切なくて寂しくても
自分で出した答えなら
きっとそれでよかったと思う。
今はそう思えなくても、
いつかそう思える日は来る。
だから、
「別れを…大切にしよう。
僕とあいつの別れ。あいつと、レイの別れ。」