第40章 scene ■
「ちょっと悟??私の話聞いてた?!」
「…あーうん、はい。聞いてた」
「…絶対嘘。今うわの空だった」
「ふっ、ごめん。何の話だっけ」
「はぁもう、だから!どんな人でも良いところは必ずあるんだよって話だよ。」
「殺したいくらいムカつく奴のことそんなふうに見れないよ」
「見れる。」
即答するレイに目を見開く。
「人と人とが理解し合おうとすることは大切なの。
それができたら人は、神様を見つけたようなものなんだよ。私今日そう言ったでしょ?」
「・・・」
"神様という神様って、実はいないんじゃないかな…。
いるとしたら…人の中にあるもの…人と人との間にあるものが、そうなんじゃないの。もしくはそれは、人と人が理解し合おうとする力のこと…なのかもと思うよ…"
レイにはやっぱ敵わないな…
でもさ…自分のことをあんなふうに言ってる奴でもレイは同じこと言えるのかな。
…あぁ……言えるよなきっと。
レイを前にするとさ、
僕はいつも…
僕自身が酷くガキみたいに思えてきちゃうんだ。