第40章 scene ■
その時、スっと腕を引かれ、優しく後ろから包まれた。
髪や耳にちゅ、ちゅ、と艶かしく音を立てながらキスをされている。
そのくすぐったさに、身を縮めて少し笑った。
「ねえ… レイ、今、幸せ?」
耳元で囁かれた吐息のような静かな声に、レイは頷いた。
「もちろんだよ。悟のおかげで。」
「…ホントに?」
「うんっ」
「ならよかったよ…」
「ね、悟は?」
「僕はレイが幸せなら幸せなのっ」
「ホントに?」
「ほんと。レイが笑顔なら、
他になーんにもいらないんだ、僕は。」
グッと頭だけ横に向かされたかと思えば一瞬で唇を奪われた。
数秒止まってから、またゆっくり離れていった。
五条の表情がなぜだか淋しげに見える。
月明かりと星の瞬きのせいだろうか?と思った。