第40章 scene ■
「神を完璧な存在と考えている人間は何でも神のせいにする。
神は神というイメージのような完璧な存在では無い。
人間は戦争や環境破壊など凶暴性に満ちている。それを造ったのが神なら、また、見て見ぬフリをしているのなら、ロクな奴じゃねえ」
「僕は信じる信じないは別として、神様ってのは人間の心の寄り所のような存在だと思ってるよ?人それぞれ信仰は違うし、何か不幸があってバチが当たったと考えるならその人の心に神がいるってことなんじゃ」
「絶対の神は存在しないと数学で証明されている。
ゲーデルの不完全性定理だ。要は宇宙も地球も人間もすべては矛盾でできているっつーことだ。結局はどこまで物事を突き詰めたとしても結果は矛盾でしかない」
「やっぱり神は悪魔かなぁ。人間は悪魔の申し子であって現世は地獄ってやつかも。私利私欲を願い求めて自分に都合のいい結果を与えてくれる神なんて存在しないし」
「科学こそ悪魔だと言っている奴もいる。科学は結果が全て、目に見える事実のみ信じる学問だ。人間は科学の便利さで目に見えるものしか信じない様になっちまった。だから奇跡だとか超自然的なものは胡散臭いと。科学は万能で事実のみが正しいと。そうなると神は超自然的存在に他ならないから常に結果のみ求める様になった人々は神を信じなくなってきたんだ。」
「神は人に一番大事な自由というものを与えたから見守っているだけなんだって言う人もいるよね?人間の世界で虐殺や差別、経済格差などがあっても神は人間を信じて必ず人間達で最後は解決してくれるだろうと堪えてるとかなんとか」
ここでする話じゃないとか言っておきながら、
五条がいささか真剣にやり取りを始めてしまった。