第40章 scene ■
「時々ね、思うんだ」
五条がポツリと言った言葉に耳を傾ける。
「神様って…いるのかなって…ね」
「……それは…」
どうだろう。
考えたことがないわけじゃない。
だけどそれを考えると、どうにも否定してしまいそうな気もする。
だってもしもこの世に神様がいたら…
何故世界に不公平や差別、戦争や貧困が生まれるの?
っていう話にもなる…
「…わからない。そもそも、神様の定義がハッキリしていないから、だからわからない。
例えばある人は恋人のことを神様だと思っていて…またある人は人を幸福にする存在が神様だと思ってる。人によって、認識の違いがあると思うから…だからなんとも言えない。」
するとクマが冷淡な口調で喋り始めた。
「神が存在すると言い張る奴は、宗教家の言い分を信じているだけだ。
つまり神を信じているのではなく、人を信じている。神に仕えているのではなく、人に仕えているんだ。」