第40章 scene ■
「なに?」
更にぎゅっと身を寄せられ、静かに諭すような声が降ってきた。
「何があっても絶対に、この人みたいなことしないで。」
庇って自ら死を選ぶなんてこと。
絶対に。それだけはやめて。
「…なんてね。そんな状況になることなんて絶対ないけどっ。でも一応"約束"してよ、レイ。」
「やだよ。もう悟と、最初で最後の約束したでしょ。」
"僕と、"約束" して。
最初で最後の約束かな。"
以前の会話を思い出す。
"僕とレイの物語…最後必ず幸せに完結するまで、ずっと一緒に進めていくって。この先何が起きようと。"
「人はどうせ、いつかは死ぬ。
だから、死んでも幸せな完結にするってことだよ。」
「……えぇ?そんな完結って」
「ねぇ、この阿亀さんは幸せだったと思わない?1番大切な人を守れて、完結したんだよ。これ以上幸せな死って、ないでしょ。」
五条は呆れたように息を吐き、レイの両肩に手を置いて視線を合わせた。