第40章 scene ■
「それからね、レイは…」
傑だけじゃなくて、見知らずの人の吐瀉物をなんにも気にすることなく触っていたり、
たった1匹の犬のことを命懸けで助けていたり、
目の前の命を救いたいと語ってたり…
"私たちが持ってるものはいずれ失うものばかりだよ…宝物も苦しみも喜びも命も…でも私は生かされた。だから生きなきゃいけない。生きて次の誰かに命を引き継いで…そうして命は続いていく…だから目の前の命は助けたいの。それがどんな命であろうと。"
純粋無垢な性格も、
まっさらな笑顔も、
透き通ったその声も、
全部全部、
あの頃からひたすら僕の心の隙間に流れ込んできて、
簡単に僕を染めるんだ。
染められすぎたら今度は
溺れていってるんだよ
こうしてね…
「ねぇ、レイ。
僕が前に地面に書いた文字、覚えてる?」
レイはハッとしたような顔で固まった。
"I love everything about you forever"
私はあなたのすべてを永遠に愛してる
「だからさ、全部だよ。
ぜーんぶに惚れてるんだよ、レイの。」