第40章 scene ■
「なにかもっと…してあげられることないかな」
「…え?」
「僕といて幸せって…レイにもっと思ってもらえるようなこと…」
「…うーん…ないかな」
「えぇーっ」
「もう充分。これ以上はないよって意味だよ」
「…でもなにかしたいんだ。
もっともっと幸せって思ってほしいから」
納得のいっていない様子の五条に、
レイはポツリポツリと言った。
「ただ話しているだけで楽しくて、
いつまでも話が続いて、
時間が経つのを忘れてしまって、
自分の全てをさらけ出せて、
無理することも無くて、
頑張ることも無くて、
自分らしくいられて、
そんな人に出会えたから、
私はもう…充分幸せ。」
歩きながら、互いの目が合った。
今までにないくらい優しい笑みで同時に笑った。