第5章 possession
「私は…ディズニーに行きたい」
「あ〜!!てぃーでぃーえるね!!
俺まだ1度しか行ったことねーわー」
「えっ!ホントに?」
意外だった。
五条ならああいった場所にはたくさん行っている気がした。
なんなら1人でも行ってしまっているような気さえ…
「マジマジ。だって俺、小せぇ頃から結構どこにも行かせてもらえなかったもん。」
あぁ…そっか。
だって五条家の坊ちゃんだもんね。
何百年ぶりかに生まれた天才はきっと子供らしいことはあまりさせてもらえない生活だったかもしれない。
「でも、1回は行ったんだ?」
「うん!こいつとな!!」
そう笑って夏油を親指で指す五条。
「えぇっ?!傑と?!…2人で?!」
驚愕していると今度は夏油が笑った。
「そうなんだよ。昔、レイが高専来る前に1度ね。
って言っても、任務でだよ。任務だというのに悟がはしゃぎすぎてあちこち連れ回されたんだよ。勝手に頭に耳とか付けられてね。案の定そのあと夜蛾先生には叱られて、」
「なっ?!傑だってなんだかんだ言って楽しんでたくせに!あ!証拠写メ残ってるぜ?!見る?」
「見る見る!見たい見たい!!」
レイは目を輝かせて身を乗り出した。
「っ。やめろよ悟」
「お前は黙ってろミッキー!」
そうして見せられた写メには、ミッキーの耳をつけて笑っている夏油と、隣で心底楽しそうにピースしているミニーの耳をつけている五条がいる。
そしてその背景には不機嫌そうに腕を組んでいる夜蛾先生が映っていた。
「はははは!!なにこれ!!
てか2人ともカップルじゃん!!」
「ウケるだろこれ!!
夜蛾が映ってるとこなんか傑作じゃね?!レア写メだから待ち受けにしようとしたんだけど、傑が必死で止めるから仕方なく…」
「悟。待ち受けは次回行った時に撮れ。
4人揃ってる写メなら許可するよ」
そう言って夏油は炭酸水を飲みだした。
少し照れているように見える。