第5章 possession
戻ると、夏油はとっくにテレビを直していて、硝子とゲームを再開していた。
画面を見ると、夏油はピーチ姫、硝子はカービィを使っている。
「はっ、また可愛いもん使っちゃって。
つーか無視かよっ!」
「あっ、おっかえりー!
でもちょい待って今目が離せないから!
ピーチがつえーんだわ!」
「おかえり2人とも。
レイの言う通り、姫様は扱いやすいね」
夏油がなぜピーチ姫を使っているのかはレイも五条も分かっていた。
レイと共有できることをまた増やしているのだろう。
しばらくしてから、4人で飲み会みたいなことをして…
早くも何本目かの酒を飲んだ硝子が少々呂律の回らない声を発した。
「ねー!夏休みにさ!4人でどっかいこーよ!」
「いいねいいね〜私も行きたいなぁ!
こないだの浜松観光みたいに旅行行きたいっ」
まぁあれは任務だったのだが…
と思いながらも、やっぱりこのメンバーで遠出するのは楽しいし、今度は任務じゃなくて普通に旅行を楽しんでみたい。
「どこか希望はある?」
夏油の言葉に、皆が上を見上げ考え出した。
そして、1番初めに口を開いたのはやはり五条だった。
「とりあえずさぁ〜無難にまず海行かねぇ?」
「海か…いいな。レイと硝子は?」
「うっぷ。私ぃー…わぁー
うまい酒とうまい食いもんあるとこならどこでも〜」
顔を火照らせてスルメをつまんでいる硝子がなんだかオッサンにしか見えなくなってきた。
「ちょっと飲み過ぎだよ硝子!大丈夫?!」
「らいじょぶ!であんたはどこ行きたいのよ!
夏油とならどこでも〜とかそう言うのナシね!」
酔っ払ってるくせに辛辣なことを言うんだなと思いながら、レイは苦笑いした。
「うーん…私は、えっとー」
行きたいと思っていたところは実はずっと前から決まっている。