第39章 dignity ■
クマは、
だあ゛〜!!と雄叫びを上げながらバシンと乱暴に本を閉じた。
「クッソうるっせぇぇええ!!
ぜんっぜん読書に集中できねぇぇえあの野郎共!」
頭を掻きむしりながらこめかみにピキンと青筋を立てる。
「おいらが行って一発殴り飛ばしてきてやる!」
そう言って2人の寝室の前まで飛んで行き、
ピタリと止まった。
あまりにも幸せそうな2人の微かな笑い声が
扉の隙間から漏れている。
2人のこんな、純粋無垢に囁く子供のような声は初めて聞いた。
まるで心の底から幸せを実感しているような声。
クマはいつの間にか釣られてクスクス笑っていた。
「ま〜いっか。また朝方押しかけてやる。」
幸せになれよ。
2人とも。
今度こそ。
おいらとの最後の約束だ。
翌朝……目を覚ました2人は、自分たちが幸せそうな寝顔を突き合わせている姿の絵が置いてあることに驚嘆するのであった。
それはもちろん額縁に入れて部屋に飾られ、宝物の一部と化した。