第39章 dignity ■
「ねぇ、一つだけ、いいかな。」
突然真剣な声色で、真っ直ぐ見つめられる。
「うん?どうしたの?」
五条は言いづらそうに眉を顰めたあと、少し目を逸らしてからまた目を合わせ、小さく深呼吸した。
「あのペンダント、もうしないでほしい」
数秒沈黙が流れ、五条が後悔したように「あっ…」と何かを言おうと口を開いた時、レイがくすくす笑った。
「?!」
「私ももう、しないつもりだったよ?
ごめん、先に言わせちゃって…」
五条は目を見開いたあと、ギュッとレイを抱き寄せてから体を離した。
「チューして…レイ。」
レイは戸惑うことなく軽く唇を重ねた。
離れる瞬間にグッと後頭部を押えられ、深く濃厚なキスをされる。
チュッと離れた時、目と鼻の先でいたずらっぽく笑っている五条が額をくっつけてきた。
「なぁに安心しきってトロンとした目ぇしてんの?」
「へ?」
「いっとくけど、まだまだ終わってないから。
今日は寝れないよって言ったよね」
「はっんん!」
塞がった唇から五条の切なげな笑い声が漏れる。
「んぁっ、ね…でも…機嫌、良くなった?」
五条はふふっと優しげに笑ってレイの手の甲にキスをした。
「上機嫌、です。姫。」
.