第39章 dignity ■
気づかなかった。
気心の知れた仲間の中にあなたがいたこと。
全てをわかり合える存在のあなたは、
私に一番安らぎを与えてくれてた。
望んでいた人はすぐ隣にいた。
これ以上知られるのが怖くて、
私は逃げ出してしまったのかもしれない。
怯えた心を振り絞ってもう一度頑張ってみるから。
交わしてくれる言葉が嬉しくて、
気さくなあなたを眩しく想った。
いつからだろう?
こんなに大きな存在になってしまったのは。
感情は移り変わりやすく、
真実さえも歪めてしまう不確かなもの。
それでも、悟ならなぜだか心の底から安心できるの。
なんでかな。
染めてほしい、悟の色に。
感じたい、体温を。
寄り添いたい、あなたと。
あと何センチ近づけばいい?
あなたの求めているもの全部あげるよ?
悟が私を見つめてくれたら
不思議なことにね、
本当に、何にでもなれる気がするんだ。