第39章 dignity ■
僕はね、正直、
レイは昔より、
どんどん綺麗になっていったと感じてた。
多分それは…
誰かを愛して誰かを失った人は、
何も失っていない人よりも美しいから。
恋を得たことのない人は不幸だと思う。
それにもまして、
恋を失ったことのない人はもっと不幸だとも思う。
深く愛することのできる人だけが、
また大きな苦痛をも味わうことになる。
でも、覚えてる?
すっごいむかーしだけどね、
レイは僕にこう言ったんだよ。
"愛することを怖がってちゃ何も得られない"
って。
愛することで得られるものはたくさんあるし、
時には失うものも出てくるかもしれないけど、
それを怖がったら負けだ。
だから全力で愛したい。
もう後悔しないように。
「好きだよ、レイ…」
愛は言葉だ。
言葉がなくなれば
同時にこの世の中に愛情もなくなるんだ。
好きになってゴメンね。
もしかしたら困らせるかもしれない。
もしかしたら苦しめるかもしれない。
でも伝えたい。
感謝したい。
恋をするって奇跡の確率じゃん。
両想いになれる可能性なんて限りなくゼロに近い。
すごいことなんだよ。
だから気づいてほしい。
僕が感じてる、君の尊さを。
死ぬほど抱き潰したい…
僕だけのものって実感したい…
壊れるくらいに… レイを…
感じたいんだ。